








この作品を書いている途中で、ロシア・ウクライナ戦争が始まってしまいました。書きはじめた当初は、コロナ禍を終わらせたいという夢(願望)をせめてマンガで描きたいとだけ考えていたのですが、ボヤボヤしているうちにコロナ+戦争、さらにその影響でこれから来るであろう大不況、食料不足と、とんでもない状況になってきました。現実の世界には怪獣よりも恐ろしいものが沢山ある、一番怖いのは人間かもしれんなと感じる今日この頃です。
「自己犠牲」という言葉で何を思い浮かべますか? 私はまっさきに、先の戦争での特攻隊員の方々のことが脳裏に浮かびます。愛するもののために自らを捧げる姿は、洋の東西や時代を問わず人々の胸をうちます。しかし同時に、戦争という巨大なシステムを駆動させるエネルギーとして利用されてしまう危険もあることを忘れてはいけない。神風特攻隊の若者たちの尊い犠牲も、結果的には悲劇を長びかせ犠牲者を増やすことにつながってしまいました。誰に何と言われようとスタコラ逃げるのが正しい場合もあるのです。そしてそのような状況に追いこまれる前に、そうならないように最善を尽くすことが一番大切なのではないでしょうか。
先日封切られた「シン・ウルトラマン」も、まさに自己犠牲をテーマとする作品でした。本当によくできた、私のようなウルトラ世代には感涙ものの傑作なのですが、その一方で特攻精神の賛美、戦争のプロパガンダに利用されてしまわないか心配です。「シン・ゴジラ」とちがい「シン・ウルトラマン」は海外でもヒットするでしょう。世界的な軍事緊張が高まっている今だからなおさら心配になります。
本作「さらばハンチョー」は、昭和のウルトラ作品からのパロディ(オマージュ)で構成されています。引用作品は以下
(a) ウルトラマン最終回「さらばウルトラマン」
(b) ウルトラセブン最終回「史上最大の侵略(後編)」
(c) 帰ってきたウルトラマン「怪獣使いと少年」
(b) の劇中、友を救うために死を覚悟して変身しようとするダンの元にアンヌが駆けつけ、ダンはアンヌに正体を明かし、アンヌがそれを警備隊メンバーに伝えて全員がダン(=セブン)の覚悟に涙します。ですがもしもアンヌの到着がもう少し遅れていたならダンは「怖くて自分だけ逃げた臆病者、卑怯者」とさげすまれて終わっていたでしょう。実は私は、その展開でしかしアンヌだけは気づいている、というストーリーの方が見たかったw その方がリアリティもあるし純粋ではないかと。たとえ一人でも、一番大切な人が分かってくれればそれでいいじゃないかと思えてしまうのです。
(2022年5月23日)